フィリピン人は宗教心が強く、家族主義で、創造性に富み、芸術、ファッション、音楽、食べ物にたいして高い関心をもっていることでよく知られています。
また、楽しい時間を過ごすことを好み、とてももてなし上手な人たちとしても有名です。
このようなフィリピンの文化は、クリスマスのような特別なイベントや行事の際に頻繁に表れます。
ここでは、フィリピン人がどのようにクリスマスを祝うのか、また、その習慣や文化がどのように反映されているのかをご紹介します。
期間 – 長いクリスマスシーズン
フィリピンは他の国とは異なり、クリスマスの期間が最も長く、9月1日から始まります。フィリピン国民にとって、9月の始まりは、この国のクリスマスのお祝いの始まりでもあるのです。
この期間は、フィリピン人は自分の家だけでなく、街灯やスーパーマーケットなどの有名な施設、さらには高速道路の分離帯の飾りつけに至るまで大忙しです。
これは、フィリピン人がいかに創意工夫をしているかということであり、毎年新鮮な飾り付けをすることを心がけているのです。

一方で、クリスマスの飾りを新たに購入する必要はなく、家にある材料でデコレーションをします。
実際、あるバランガイでは、リサイクル素材を使ったクリスマスの飾りつけを競い合うコンテストが毎年開催されています。賞品は、ノーチェ・ブエナ(クリスマスディナー)のメニューに合うスパゲッティやサラダのセットです。
飾り付けをするだけでなく、フィリピン人はこの機会に親戚や息子、娘、友人などのリストと、彼らに贈るプレゼントを作成します。これは、フィリピン人が思いやりをもって贈り物をすることで、人間関係を大切にするということを表しています。
この季節になれば、フィリピンのいたるところでクリスマス・メドレーが聞こえてきます。フィリピンのクリスマスは1月まで続きますが、締めくくりに行われるのが3人の王様のお祝いです。
Jose Mari Chan(ホセ・マリ・チャン)氏の季節

Jose Mari Chan(ホセ・マリ・チャン)氏のシングル曲は、フィリピンのクリスマスには欠かせません!
ホセ・マリ・チャンは、フィリピンのポップミュージックを盛り上げることに貢献した曲を発表してきた歌手、ソングライター、テレビ司会者、砂糖業界のビジネスマンです。
多くのフィリピン人たちが彼の歌を聴いて育ってきたため、彼の音楽はすべてのフィリピーノにとって思い出深いものとなっているのです。彼は有名なヒット曲をいくつも持っていますが、クリスマスソング「Christmas in our hearts」などはフィリピン人のクリスマスを記憶に残るものにしています。
彼のクリスマス・ソングは、フィリピン全土のビデオケ/カラオケ機器を通して演奏され、歌われました。
Parol and Belen Everywhere(パロールとベレンエブリウェア)

伝統的なクリスマスツリー、サンタクロース、ホリデーリース、クリスマスイルミネーションの他に、フィリピン人には “Parol(パロル) “という独自のクリスマス飾りがあります。
竹と和紙で手作りされたランタンの飾りで、夜になると光り輝くように、クリスマスライト(時にはロウソク)を添えます。これらの装飾用ランタンは、星形や円形のものが多く、中には「尾」がついていて、風が通るととてもきれいに見えるものもあります。
パロールは、もともと3人の王が赤ん坊のイエスのもとに導いた星を表しており、”光が闇に打ち勝った”という意味と、クリスマスシーズンに”信仰、希望、親善を共有する”という意味が込められています。
パロールや伝統的なクリスマスの飾り付けの他に、フィリピン人は「Belen(ベレン)」というスペイン語で、赤ちゃんイエスが生まれたとされる象徴的な都市『Bethlehem(ベツレヘム)』を指す「ベレン」を加えて楽しみます。フィリピンのベレンはその降誕シーンを再現しているものです。

フィリピンのベレンには通常、イエスが生まれたとされる馬小屋と、赤ん坊のイエス、マリア、ヨセフ、そして何頭かの馬が描かれています。その上にパロールを飾るのが一般的です。
クリスマス・キャロル -賛美歌
フィリピンのキャロリング(Caroling)は、一般に馴染みのあるものと同じで、クリスマスキャロル(賛美歌)を歌って家々を回り、各家庭に「メリークリスマス」と祈って施しを求めるものです。
フィリピンでは、7歳以上の子どもたちがキャロリングをして歩き回るのが一般的です。通常、金属製のボトルキャップで作ったタンバリンや、牛乳瓶に薄い布やプラスチックをかぶせて作ったドラム缶を自分たちで持っています。
この活動は、マリアの胎内から赤ん坊のイエスが生まれようとしているとき、マリアとヨセフが宿泊場所を求めたことを記念していると言われています。
Simbang Gabi and Misa de Gallo(真夜中のミサ)

「Simbang Gabi(シンバン・ガビ)」とは、本来は”夜のミサ”を意味するフィリピン語で、通常、クリスマスの9日前である12月16日から24日まで、午前3時から5時間おきに行われます。クリスマス前夜がは特に華やかで、ミサも続けられます。
この伝統は、フィリピンのスペイン植民地時代にさかのぼります。当時、農民が日中働けるようにと、司祭は午後ではなく早朝にミサを行っていました。
9つのミサをやり遂げると願いが叶うと言われています。

ミサの後、フィリピン人は教会の外で屋台料理を楽しみます。「Bibingka(ビビンカ)」と呼ばれる、チーズと塩漬け卵をのせたお餅が一般的です。
プト・ブンボンは竹筒で炊いた紫色のお餅で、一般的にココナッツの千切りとコンデンスミルクやレチェ・フランを上に乗せて食べます。
フィリピンのクリスマスについて
フィリピンのクリスマスは、単なる年中行事という枠を超えて、フィリピンが自国の文化を紹介する最高の方法のひとつです。
また、クリスマスはフィリピン人家族が一堂に会する機会でもあり、みんなで楽しくお祝いすることができるイベントでもあるのです。